Web制作に興味がある人や、デザインセンスに自信のある人の中には、自分の強みを生かして「Webデザイナーになりたい」と考える人もいらっしゃるのではないでしょうか。
Webデザイナーは「Webサイトを作成する人」というイメージがありますが、仕事内容はWebサイトの作成だけではありません。実際には、1つのWebサイトを完成させるための一連の作業を行う必要性もあるのです。
本記事では、Webデザイナーの仕事内容や、具体的に必要なスキルについて解説します。
「Webデザイナーになりたい」とお考えの人は、ぜひ本記事を参考にして、「Webデザイン」の基礎知識や、Webデザイナーの仕事内容について、イメージを掴んでみてください。
目次
Webデザインとは?
Webデザインとは、文字通り「Webサイトのデザイン」のことです。
Webサイトのデザインは、全体の見た目・色合い・イラスト・フォント・アニメーション素材など、様々な要素で構成されています。
それらの要素を作成し、クライアントが望むWebサイトをデザインすることが、Webデザイナーの仕事です。
そのため、Webデザイナーは、デザインセンスといった美的感覚のほかに、画像編集ソフトの操作スキルや、HTMLやCSSのコーディングスキルなども必要となります。
レスポンシブWebデザインとは?
レスポンシブWebデザインとは、Webページを表示させる端末に合わせて、最適な見た目に調整するWebデザインのことです。
Webサイトの閲覧は、PCだけではなく、スマートフォンやタブレット端末で行うことも多くなりました。
たとえば、PCのブラウザ上で整ったレイアウトで表示されているWebサイトでも、スマートフォンなど画面サイズの小さい端末のブラウザで同じ画面を見たときに、視認性が悪くなってしまう可能性が大いに考えられます。そのままのレイアウトでは、文字が小さすぎて見えにくかったり、必要な項目が探しにくかったりしてしまうのです。そうすると、ユーザーがWebサイトを開いたとしても、すぐに離脱する可能性が高くなってしまいます。
レスポンシブWebデザインで作成されたWebサイトは、スマートフォンユーザーにも見やすいレイアウトで表示されるだけでなく、検索エンジンの上位表示(SEO)にも有効である点や、ユーザーにSNSなどでシェアしてもらいやすいという点でもメリットが大きくなります。
現代のWebデザインにおいて、レスポンシブによるデザインは当然であると言っても過言ではないでしょう。
WebデザインとUIの違いは?
前述のとおり、WebデザインはWebサイトのデザインのことを言いますが、全体の「見た目」を重視したデザインのことも指します。
一方でUIは、User Interface(ユーザーインターフェース)の略で、「端末とユーザーとの接点」という意味を持ちます。Webサイトで言う「UIを意識したデザイン」とは、「ユーザー視点で使いやすい」デザインのことです。つまり、UIはデザインも含めた包括的なユーザビリティのことを指すのです。
近年は見た目の美しさに加えて、ユーザビリティの高いサイトをデザインできる「UIデザイナー」の需要も増えています。
Webデザイナーの仕事内容
Webデザイナーの仕事内容は下記のとおりです。
● サイト・ページの構成とレイアウトを決める
● サイト全体のWebデザインを作成する
● クライアントとデザインの方向性をすり合わせる
● 画像を作成する
● コーディングが必要な場合はコーディングも対応する
それぞれ順番に解説します。
サイト・ページ構成とレイアウトを決める
サイト管理者やクライアント企業などからWebサイトの作成依頼を受けたのち、WebデザイナーはWebサイトの構成とレイアウトを決めます。
構成とは、Webサイト上に作成する、メニューやコンテンツの大枠のことです。
どんなメニューが必要なのか、どんなコンテンツを掲載するのかを、サイト管理者などの要望に基づき決めていきます。
また、レイアウトとはWebサイトのメニューやコンテンツの配置のことです。
2カラムのレイアウトにするのか、サイドバーは左右どちらに配置するのか、など、決められたコンテンツをどのように配置していくのかを決める作業を行います。
多くの場合、依頼者はWebデザインに対する知見がないため、Webデザイナーが率先して構成やレイアウトの提案を行う必要があります。デザイナーにとって、構成とレイアウトを決めることに加え、提案することも業務の一つと言えるでしょう。
サイト全体のWebデザインを作成する
構成とレイアウトが決まったら、Webサイト全体のデザインを作成します。
Webサイトの色合いや、ヘッダ・アイコン・パーツなどのデザイン、装飾パターンなどを作成し、実際に反映させていく作業です。
全体のWebデザインを作成する際は、色合いや画像等をすり合わせるための「カンプデータ」から作成し、方向性が間違っていなければ、本デザインに進みます。
クライアントなどとデザインの方向性をすり合わせる
デザインカンプができたら、クライアントなどとデザインの方向性をすり合わせます。
デザインの方向性のすり合わせを行い、レイアウトや見た目、素材のデザインなどを明確にすることは、手戻りのないWeb制作を行うために大切なことです。
もし、デザインカンプをもとにクライアントとすり合わせを行わずにWebサイトを作った場合、「イメージと違う」と言われたときに大幅な修正が必要となってしまいます。
そのため、事前にクライアントとデザインの方向性をすり合わせるとともに、戻りがないように一方通行で業務が進むようにマネジメントを行う必要があるのです。
画像を作成する
デザインカンプをもとに、クライアントとすり合わせができたら、画像素材を作成します。
画像素材の作成には、Photoshop(フォトショップ)やIllustrator(イラストレーター)などのグラフィックソフトがよく使われます。
Webデザイナーには、これらのグラフィックソフトの操作知識や、コントラスト調整や
細かいトリミングなどができる操作スキルが必須となります。
コーディングをする
画面でWebサイトを見たときの、背景色やフォントの種類・色、項目のレイアウトなどは、HTMLやCSSといったマークアップ言語のコーディングにより指定されます。
コーディングは主に「コーダー」と呼ばれる担当者が行いますが、Webデザインの現場によってはコーダーがいない場合もあります。そのため、WebデザイナーにもHTMLやCSSなどのコーディングスキルが求められることもあるでしょう。
なお、Webデザイナーにコーディングのスキルがあれば、HTMLやCSSでできること・できないことが分かっているため、クライアントとの打ち合わせでも、より現実的な提案ができるというメリットがあります。実際にWebデザイナーがコーディングを行うかどうかは別としても、一定のコーディングの知見は持っておいたほうが何かと有利です。
Webデザイナーに必要なツール3選
Webデザイナーとして働きたい場合、下記の3つのツールの操作スキルは必須と言えるでしょう。
● Photoshop
● Illustrator
● Canva
いずれもWebデザインの現場で、ほぼ使われているツールです。
それぞれのツールの特徴や主な使用用途について、順番に解説します。
Photoshop
Photoshopは、主に写真や画像素材に対する編集処理を行うソフトです。Photoshopでは画像素材に対して、下記のようなことができます。
● 画像の明るさやコントラストなどの調整
● 画像の必要な部分のみを切り抜く
● 画像の合成
● 画像の傾きの修正
また、簡易的な画像であれば後述するソフトを使用しなくても、Photoshopで制作することが可能です。
Illustrator
Illustratorは、主にイラストを作成するためのソフトであり、可能な操作は下記のとおりです。
● 図形の作成
● 文字のデザイン
● 自由なイラストの作成
また、Illustratorで作る画像は「ベクトル画像」と呼ばれる形式で、「拡大・縮小しても画質が落ちない」という特徴があります。
そのため、Webサイトのロゴやバナー、ヘッダーのデザインなどは、PhotoshopよりもIllustratorで作るほうが適しています。
Canva
Canvaは、ロゴやバナー、アニメーションなどの素材テンプレートが豊富に用意されているグラフィックデザインの無料ツールです。
用意されたテンプレートを柔軟にカスタマイズして、オリジナルの画像・イラスト素材を作成できます。
ただし、PhotoshopやIllustratorのような、数ミリ・数ポイント単位の細かい編集や、グラデーションマスクなどの作成・編集ができないなど、できることに限りがあります。
凝ったデザインではなく、汎用的なデザインをもとに、手早く素材を作成したいときに使えるツールです。
まとめ
本記事では、Webデザインと、Webデザイナーという職種の仕事内容、Webデザイナーに必要なツール・スキルについて解説しました。
近年では、スマホやタブレットの普及により、どの端末でも見やすいレイアウトとなるレスポンシブWebデザインや、見た目の美しさに加えてユーザーの導線を考えたUIデザインが求められています。
デザインツールの普及などにより、Webサイトのデザインはかつてよりも敷居が低くなり、簡単なサイトなら非デザイナーでもある程度は作れるようになりました。その結果、Webデザイナーの需要は飽和しているという一面があります。しかし、UIやマーケティングの観点から市場価値を見出して活動しているWebデザイナーはまだ希少であり、Webデザイナーの活躍が求められる場は、まだたくさんあると言えます。
Webデザイナーになりたいと考えている人は、本記事を参考にして行動してみてはいかがでしょうか。